新年のご挨拶 あけましておめでとうございます。 昨年はロシアによるウクライナ侵略戦争が起き、その戦争状態はまだ続いています。ウクライナの悲惨な状況を目にしますと、つくづく平和のありがたさを実感します。 その戦争が大きく関係し、またコロナによる影響もあり、さらには日銀の金融緩和策の継続もあって、歴史的な円安による全般的な輸入品価格の上昇により、資源・エネルギ−、食料品以外でも値上がりが相次ぎ、物価高騰の波が広がっています。 とくに、私たちの暮らしに関わる飲食料品の値上げは6,500品目以上にのぼり、家計を圧迫しています。 それに輪をかけるように、75歳以上の高齢者で一定の収入、すなわち単身世帯で年収200万円以上ある人が医療機関の窓口で支払う医療費割合が1割から2割に引き上げられています。 年金は引き下げられる、賃金は上がらないという状況の中で、生活必需品は上がるという悪い物価上昇に対し、私たちはどうしたらよいのでしょう。 少なくとも、消費税は一時的にでも税率を引き下げる、または停止するくらいの、政治的英断が求められていると思います。 そのような中で、今年の10月1日からインボイス制度が施行されます。 インボイスセ制度とは、正式には「適格請求書等保存方式」といい、2016(平成28)年度税制改正で創設され、2023(令和5)年10月1日から施行されます。施行されるまで7年、まさに、災害は忘れたころにやってくるようなものです。 インボイス制度が導入されますと、仕入税額控除の要件として、「適格請求書発行事業者=登録事業者」が交付する「適格請求書=インボイス」等の保存が求められますので、収入が1000万円以下で消費税免税事業者も、課税事業者になることを強いられることにもなりかねません。適格請求書の発行や保存等の事務負担が増加し、まさに死活問題です。 インボイス制度は必要かというと、2023年9月30日までの帳簿記載方法は「区分記載請求書等保存方式」といい、消費税を課税するに当たり有効に機能しています。現在の仕組みでなんら問題ありません。 なぜ「屋(おく)上屋(じょうおく)を重ねる」ような、手間をかけさせようとするのでしょう。 多くの業者団体がインボイス制度の延期や廃止を求めています。全国15の税理士会で構成する日本税理士会連合会でも、令和5年度税制改正に関する建議書の中で、「適格請求書等保存方式の導入時期を延期するか、少なくとも中小企業者の実務を踏まえた柔軟な運用を行うこと」という提言を行っています。 国民に負担を強いるようなことに対し、「延期または廃止する」という決断を、今の政権に求めることは難しいのでしょうか。 ところで岸田政権は、歴代政権で初めて敵基地攻撃能力の保有検討を表明し、2022年度予算では約5兆4千億円を計上しています。 現在軍事費の上限を「GNP(国民総生産)比1%」枠がありますが、さらに「GNP比2%」採用の検討に入っています。 私は、やたら軍事予算を増加させることではなく、外交努力によって平和を維持する試みが今こそ求められている時代だと考えます。 それに関係する憲法改正についても、目が離せないところです。 自民党は、緊急時に政府の権限を強化する緊急事態条項の創設を優先的に目指す、さらに、敵基地攻撃能力の保有についても強調しています。 私たちは、先の見えない不透明な時代に生きています。 今年はどういう年になるのでしょう。 新年を迎え、改めて日本の将来を見据え、これからどういう行動をしていくべきか考えてみる必要があると思います。 みなさまのご健勝と事業のご繁栄を祈念いたしまして、新年のご挨拶といたします。 本年もよろしくお願いいたします。 (代表社員税理士 益子良一)
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