2024年暑中のあいさつ
2024/08/02
暑中お見舞い申し上げます。
イスラエル軍によるパレスチナ自治ガザ地区全域で病院も含め数百か所が空爆や侵攻が行われ数万人規模での死者を出していますし、またロシアによるウクライナ侵略戦争はまだ続いています。
ウクライナやパレスチナ自治ガザ地区の悲惨な状況を目にしますと、つくづく平和のありがたさを実感します。
日本では昨年の10月1日から消費税にインボイス制度が導入され、売上が1000万円以下で消費税免税事業者である事業者も課税事業者になることを求められています。
中小事業者にとって、インボイス発行による保存等事務負担の増加、また電子帳簿保存法の改正により電子取引による請求書等の保存方法の変更、さらに6月から定額減税の事務負担が始まるなど過重な負担を強いられています。
マスコミ等では、大手企業の大幅な賃上げが取り上げられていますが、中小企業にとって大企業並みの賃上げができたか疑問です。
そのような中、自民党の裏金事件を受けた政治資金改正法案が、自民、公明両党と日本維新の会が合意して衆議院を通過し参議院の採決で成立しています。
その内容は、政治資金パ−ティ−収入を含む企業・団体献金を温存するだけでなく、さらには政党が議員個人に渡す、いわゆる「つかみ金」と言われる「政治活動費」の法定化=合法化が盛り込まれるなど、実効性は疑問です。
政府広報では、今年の12月2日から今の健康保険証は発行しない=健康保険証を廃止すると言っています。しかし代わりに資格確認書が交付されることを言っていませんし、現在の健康保険証も2024年12月2日から最大1年間は有効であることも言っていません。
マイナンバ−カ−ドと健康保険証を一体化した「マイナ保険証」は、「資格情報が無効」、あるいは「カ−ドリ−ダ−エラ−が出る」などトラブル続きです。
そして情報漏洩の危険性もあり、国民の不安は払拭されていません。
なぜ「現在の健康保険証を残して」という国民の声を聴かないのでしょう。
インボイス制度導入にしても、日本には帳簿を利用して消費税を計算するという諸外国にはないシステムを採用することで消費税徴収に問題はありません。
それにも係わらず、あえてインボイス制度を導入し、事業者に負担を強いて、最終的には廃業を考えざるを得ない状況を生み出す必要があるのでしようか。
一方大手民間企業を見てみますと、国土交通省は一連の認証不正問題でトヨタやホンダなど全5社に立ち入り検査をしています。不正問題により生産は停止し、販売店や部品メ−カ−など取引先が影響を受けることは必然です。
6月には証券取引等監視委員会が、企業買収などをめぐる顧客の非公開情報をグル−プ内で違法に共有したとして三菱UFJフィナンシャル・グル−プ(MUFG)傘下の銀行と証券会社2社の計3社に対し行政処分を出すよう金融庁に勧告しています。一部には銀行の専務執行役員や証券会社の副社長らも関わっていたと言われています。
政界、財界を問わず日本という国はどうなっているのでしょう。
今年は衆議院の解散があると言われています。
現在の与党は、安定多数を持つことにより法案を提出したら「結論ありき」、そして「一度決めたら見直すことをしない」、極論すれば、国民の声を聴く力が失われてしまっていると感じてしまいます。
先行き不透明な時代、これからの日本を託すに足る政治家を選んでいく必要があると考えます。
ご自身の経営も含め、すべての事柄について、どう舵取りし乗り切っていくか、今一度真剣に考えてみる必要があります。
今年も暑い夏になりそうですが、みなさまの事業の発展とご健勝を祈念いたしまして、暑中のごあいさつといたします。
代表社員税理士 益子良一

2024年新年のご挨拶
2024/01/02
新年のご挨拶
あけましておめでとうございます。 
 ロシアによるウクライナ侵略戦争はまだ続き、昨年パレスチナではイスラエル軍によりパレスチナ自治ガザ地区全域で病院も含め数百か所が空爆され2万人以上の死者を出しています。ウクライナやパレスチナ自治ガザ地区の悲惨な状況を目にしますと、つくづく平和のありがたさを実感します。
 ところで日本の状況を見てみますと、昨年10月1日から導入されたインボイス(適格請求書)制度ですが、システム変更とそれに伴う手間などを含め事業者の負担は増えました。
しかしそれに見合う税収増があるかと言うと、それは甚だ疑問です。また政府は今年の秋から現行健康保険証を廃止してマイナンバ−カ−ドと健康保険証を一体化させた「マイナ保険証」にしようとシャカリキになっています。「マイナ保険証」を作らない人には「資格確認書」を発行するとしていますが、現在の保険証で不都合があるのでしょうか。 
マイナンバ−カ−ドと一体化したマイナ保険証の作成に当たっては、誤って別人の情報が紐づけされたケ−ス等が確認されています。別人の情報を基に治療や投薬が行われたら、重大な医療事故を招きかねません。高齢者の中には使い慣れた保険証で十分だという人も少なくなく、あえて廃止する意味を見出すことができません。
 さらに岸田政権は「経済!経済!経済!」と言って、大盤振る舞いの「経済対策」を決めましたが、減税も含め予算規模が17兆円余りに膨らんでいます。財源の多くは国債発行に頼る借金頼みの野放図な財政出動と言えます。とくに岸田首相は唐突に所得税などの定額減税を打ち出していますが、減税の実施は今年の6月で即効性はありません。非課税世帯などには給付金を出すと言っていますが、減税との兼ね合いで公平な仕組みにできるか疑問です。
防衛増税が後に控えており、今回の税制改正では見送られますが、退職所得に対する控除額を引き下げ増税する案も俎上に上がっています。さらに厚生労働省は、65歳以上の介護保険料について、年間の合計所得が410万円以上の所得者を対象に引き上げる見直し案をまとめ、基準額の1.8倍から最大2.6倍の増額案を提示しています。
減税を打ち出しても内閣支持率は落ち込んでいます。
 日本の経済を停滞させてきた要因の一つが消費税の増税で、消費税の増税が行われるたびに国民の実質所得は大きく損なわれ、ここへきて物価高と相まって、私たちの暮らしに大きな影響を与えています。
減税するなら所得税減税ではなく、消費税率を引き下げることによる減税にするべきで、諸外国ではすでに消費税率を引き下げることで景気対策等を行っている国もあります。
今年中に衆議院解散があるのではないかと言われています。
私たちが納めた税金がどう使われていくのか、国民の一人として目を光らせていくことも必要です。
政権政党が緊張感を持った政策を行うためには、政策に違いがあったとしても、各政党が共闘することが必要ではないでしょうか。
 限定的で短期的な政策については、協定を結んで選挙で共闘する、そしてそれから腰を据えて長期的課題について国民的な議論を深め、場合によっては政権交代を実現するといったような現実的かつ合理的な戦略が必要だと考えます。
今年はどういう年になるのか、私たちは先の見えない不透明な時代に生きています。
新年を迎え、改めて日本の将来を見据え、これからどういう生き方をしていくべきか考えてみる必要があります。
 みなさまのご健勝と事業のご繁栄を祈念いたしまして、新年のご挨拶といたします。
 本年もよろしくお願いいたします。
(代表社員税理士 益子良一)

2023年暑中のご挨拶
2023/08/01
暑中お見舞い申し上げます。
日本ではコロナウィルス感染症が2類から5類になりインフルエンザと同様な扱いになりました。しかし食料品や日用品などの値上げが本格化し、民間調査機関の試算では、今年度の家計負担は前年度より14万5千円以上増えると言っています。
世界を見てみますと、ロシアによるウクライナ侵略戦争はいまだ続いており、戦争の悲惨さを痛切に感じます。
ところで国会は衆議院解散もなく閉会しました。マイナンバ−カ−ド(マイナカ−ド)の活用拡大に向けた改正マイナンバ−法など関連法が成立し、とくに2024年秋には現行の健康保険証を廃止して「マイナ保険証」に一本化するほか、マイナンバ−の年金受給口座との紐づけが進められます。
しかしマイナカ−ドと一体化したマイナ保険証は、誤って別人の情報が紐づけされたケ−スが確認され、またそのうちの数件は薬剤や医療費などの個人情報が他人に閲覧される状態になっていました。医療情報は、個人情報の最たるもので、別人の情報を基に治療や投薬が行われたら、重大な医療事故を招きかねません。まさにシステムの信頼を揺るがすゆゆしき事態と言えましょう。
「マイナ保険証」を作らない人には「資格確認書」を発行するとしていますが、現在の保険証を持ち続けることではいけないのでしょうか。保険証のデジタル化で、過去に処方された薬の情報を確認し、過剰投与や検査の重複を避けると言われていますが、現在でも「お薬手帳」があります。老人を預かっている施設によっては、緊急対応に必要などの理由から保険証を預かっているところもあり、そのような施設管理者は、どう「マイナ保険証」を管理するのでしょう。
高齢者の中には使い慣れた保険証で十分だという人も少なくなく、あえて廃止する意味を見出すことができません。
またマイナカ−ドを使ってコンビニで証明書を取得できるサ−ビスでも、他の人間の住民票が発行されてしまうといったトラブルも発生しています。さらに自治体によっては、本来マイナカ−ドの取得者が受け取る「マイナポイント」が誤って別人に付与された事案も起きています。
このように問題のある改正マイナンバ−法などの関連法について、なぜ国民の不安を解消することなく拙速に成立させたのでしょう。法案は成立しましたが、施行期日を延期するなどして、いま一度立ち止まって考えてみる必要があると考えます。
さらに原発推進関連法も成立し、福島第一原発の事故後に導入された運転期間の制限を緩め、一定の要件で60年を超える稼働に道を開いています。
原発は、安全性や経済性の問題に加えて、増え続ける「核のゴミ」や核燃料サイクルの行き詰まりといった課題が山積しています。
その解決を図る道筋も示さずに、なし崩し的に「復権」するのは許されるものではありません。エネルギ−政策全般の見地でも再生可能エネルギ−を主軸とした変革を急ぐべきです。
問題を多く抱えた法案が、国会での議論が深まらないままに成立してしまっていると考えるのは私だけでしょうか。
法案は与党とそれに賛同する政党の多数決で決まります。今年の10月1日から始まるインボイス制度もそうですが、現在の与党は、安定多数を持つことにより法案を提出したら「結論ありき」、そして「一度決めたら見直すことをしない」、極論すれば、国民の声を聴く力が失われてしまっていると感じてしまいます。
先行き不透明な時代です。経営も含めすべての事柄について、どう舵取りし乗り切っていくか、今一度真剣に考えてみる必要があります。
今年は暑い夏になりそうですが、みなさまの事業の発展とご健勝を祈念いたしまして、暑中のごあいさつといたします。
代表社員税理士 益子良一

2023年新年のご挨拶
2023/01/05
新年のご挨拶
あけましておめでとうございます。
 昨年はロシアによるウクライナ侵略戦争が起き、その戦争状態はまだ続いています。ウクライナの悲惨な状況を目にしますと、つくづく平和のありがたさを実感します。
その戦争が大きく関係し、またコロナによる影響もあり、さらには日銀の金融緩和策の継続もあって、歴史的な円安による全般的な輸入品価格の上昇により、資源・エネルギ−、食料品以外でも値上がりが相次ぎ、物価高騰の波が広がっています。
とくに、私たちの暮らしに関わる飲食料品の値上げは6,500品目以上にのぼり、家計を圧迫しています。
それに輪をかけるように、75歳以上の高齢者で一定の収入、すなわち単身世帯で年収200万円以上ある人が医療機関の窓口で支払う医療費割合が1割から2割に引き上げられています。
年金は引き下げられる、賃金は上がらないという状況の中で、生活必需品は上がるという悪い物価上昇に対し、私たちはどうしたらよいのでしょう。
少なくとも、消費税は一時的にでも税率を引き下げる、または停止するくらいの、政治的英断が求められていると思います。
そのような中で、今年の10月1日からインボイス制度が施行されます。
インボイスセ制度とは、正式には「適格請求書等保存方式」といい、2016(平成28)年度税制改正で創設され、2023(令和5)年10月1日から施行されます。施行されるまで7年、まさに、災害は忘れたころにやってくるようなものです。
インボイス制度が導入されますと、仕入税額控除の要件として、「適格請求書発行事業者=登録事業者」が交付する「適格請求書=インボイス」等の保存が求められますので、収入が1000万円以下で消費税免税事業者も、課税事業者になることを強いられることにもなりかねません。適格請求書の発行や保存等の事務負担が増加し、まさに死活問題です。
インボイス制度は必要かというと、2023年9月30日までの帳簿記載方法は「区分記載請求書等保存方式」といい、消費税を課税するに当たり有効に機能しています。現在の仕組みでなんら問題ありません。
なぜ「屋(おく)上屋(じょうおく)を重ねる」ような、手間をかけさせようとするのでしょう。
多くの業者団体がインボイス制度の延期や廃止を求めています。全国15の税理士会で構成する日本税理士会連合会でも、令和5年度税制改正に関する建議書の中で、「適格請求書等保存方式の導入時期を延期するか、少なくとも中小企業者の実務を踏まえた柔軟な運用を行うこと」という提言を行っています。
 国民に負担を強いるようなことに対し、「延期または廃止する」という決断を、今の政権に求めることは難しいのでしょうか。
 ところで岸田政権は、歴代政権で初めて敵基地攻撃能力の保有検討を表明し、2022年度予算では約5兆4千億円を計上しています。
 現在軍事費の上限を「GNP(国民総生産)比1%」枠がありますが、さらに「GNP比2%」採用の検討に入っています。
 私は、やたら軍事予算を増加させることではなく、外交努力によって平和を維持する試みが今こそ求められている時代だと考えます。
 それに関係する憲法改正についても、目が離せないところです。
自民党は、緊急時に政府の権限を強化する緊急事態条項の創設を優先的に目指す、さらに、敵基地攻撃能力の保有についても強調しています。
私たちは、先の見えない不透明な時代に生きています。
今年はどういう年になるのでしょう。
新年を迎え、改めて日本の将来を見据え、これからどういう行動をしていくべきか考えてみる必要があると思います。
 みなさまのご健勝と事業のご繁栄を祈念いたしまして、新年のご挨拶といたします。
 本年もよろしくお願いいたします。
(代表社員税理士 益子良一)

2022年暑中のあいさつ
2022/07/27
暑中お見舞い申し上げます。
コロナウィルス感染症に対する神奈川県の「まん延防止等重点措置」は3月21日に解除され、外では2b以上離れていればマスク着用しなくてもよいとされました。しかしコロナがこれからどうなるか分からず、まだマスクを外して行動することは難しい状況です。
今年はロシアによるウクライナ侵略戦争、ウクライナの悲惨な状況を目にしますと戦争の悲惨さを痛切に感じます。その終わり方ですが、一つの国を侵略して、その侵略した国が勝利するような終わり方ですと、第二次世界大戦後延々と培われてきた民主主義が失われてしまうと言っても過言ではないでしょう。
ところでコロナによる影響もありますが、戦争の影響としてガソリン価格の高騰や小麦価格など原材料価格の上昇で、身近な商品の値上げが相次いでいます。
総務省が発表した4月の全国消費者物価指数でも2020年を100として、値動きの大きい生鮮食料品を除く総合で101.4と、前年同月比で2.1%上昇しています。その物価上昇率を項目別に見ますと、都市ガス代23.7%、電気代21.0%などエネルギ−関係の値上がりが顕著で、値上げの動きは生活に身近な食料品にも広くおよんでいます。あるエコノミストの試算によりますと、パンが7.7%、コ−ヒ−・ココアは12.1%、マ−ガリンは8.8%上昇し、朝食に関連が深い10品目を抜き出した4月の「朝食価格指数」は5.2%上昇と、消費者物価指数全体の伸び率を大きく上回っています。みずほリサ−チ&テクノロジ−ズの試算によりますと、エネルギ−や食料品価格の上昇で、2022年の家計負担は1世帯平均で約6万円増える可能性があるとしています。
物価高騰は、私たちの家計を直撃します。
 そのような中、日銀の黒田総裁は、「日本の家計は値上げを受け入れている」と発言し、その発言は後で撤回しています。
日本の消費者は、どうしようもない、仕方がないと、あきらめの境地で耐えていると言っても過言ではありません。
発言を撤回したとは言え、国民の認識と大きなズレがある感覚の発言と言えましょう。
 物価上昇が激しいときこそ、消費税の税率を引き下げる施策はとれないのでしょうか。
 そのような中、「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太の方針)」が6月7日閣議決定されています。その方針の中に、「NATO諸国は国防予算を対GDP(国内総生産)比2%以上とする基準を満たすという誓約がある」との説明を盛り込んでいます。日本の本年度当初予算の防衛費は5.4兆円で、対GDP比で約1%、2%の場合は新たに5兆円が必要となります。5兆円あれば大学無償化や児童手当拡充が可能となります。さらに骨太の方針では、防衛力強化に伴う防衛費以外にも歳出拡大の検討項目が並んでいますが、それらに対する財源確保は、「安定的な財源を確保しつつ本格導入」、「社会全体での費用負担のあり方を含め幅広く検討」などあいまいな表現で、財政健全化の書きぶりは後退しています。
将来増税になるのは目に見えていますが、その財源は消費税になるのでしょうか。
ところで消費税について、インボイス方式が来年(2023年)10月1日から行われようとしており、その申請が昨年(2021年)10月1日から始まっています。インボイス方式が導入されますと、収入が1000万円以下の消費税免税事業者も、課税事業者になることを強いられことにもなりかねません。
日本税理士会連合会は、インボイス制度実施を延期するように建議・要望をしています。
先行き不透明な時代は、経営も含めすべての事柄について、どう舵取りし乗り切っていくか、真剣に考えていく必要があります。
みなさまの事業の発展とご健勝を祈念いたしまして、暑中のごあいさつといたします。     
(代表社員税理士 益子良一)

2022年新年のご挨拶
2022/01/08
新年のご挨拶
あけましておめでとうございます。
昨年10月に衆議院の総選挙があり、自民党は単独で絶対安定多数を取り公明党との連立政権を維持しています。
 衆議院選挙は「政権選択選挙」と言われていますが、今回有権者が示した民意は、政権交代まで求めるものではなかったと言えます。
 しかし今回の選挙では新しい動きも出てきています。それは立憲民主党と共産党、国民民主党、れいわ新選組、社民党の5党は213の選挙区で候補者を一本化しました。
しかしその野党共闘によっても、立憲民主党や共産党は公示前の議席を上積みできず、それに対して、大阪府を拠点とする日本維新の会は議席を大きく伸ばしました.
そこでその野党共闘について、色々と評価が分かれています。
 しかし選挙の結果をよく分析してみますと、その野党共闘により前回と比べて小選挙区で野党候補が勝った選挙区が増えています。また多くの選挙区で接戦に持ち込んでいます。
 仮に投票率がもう少し上がっていれば、選挙結果は変わっていたかもしれません。
 各政党で政策に違いがあっても、短期的で緊急な政策について共闘は可能だと考えます。
 限定的・短期的な政策については協定を結んで選挙で共闘してまずは政権交代を実現する、そしてそれから長期的課題について腰を据えて国民的な議論を深める、それが現実的かつ合理的な戦略ではないでしょうか。
共産党を含めた野党共闘という出かかった芽がつぶれてしまうのか注視していく必要があります。
 ところで昨年11月に発足した第2次岸田内閣は、親の年収が960万円未満で18歳以下の子どもを対象として10万円相当の給付を決めています。子どもへの給付について所得制限をかけていますが、所得で子どもを分断するのが望ましいと言えるでしょうか。
また1回10万円を配ることにどれほどの意味があるのか、そして子育て支援か経済対策か曖昧で、費用対効果がどれだけあるのか疑問です。
 生活困窮者を支えるのなら、一回きりでなく継続的な支援策を考えるべきでしょう。
仮に今年の夏に行われる参議院選挙を念頭にしたものですと、ばらまき以外のなにものでもないと言えます。
 1980年代以降の新自由主義のもとで中間層が細って拡大したとの反省から、岸田首相は、市場任せでなく、官民が連携して多くの国民に分配するという新しい資本主義を掲げています。しかし分配の具体策について、金融所得課税の強化を掲げたものの株式市場の動向などを受けて先送りしていますし、首相が設置した「新しい資本主義実現会議」が公表した緊急提言の中身を見てみますと、大半は安倍・菅政権が取り組んできた施策の延長線上にあります。分配を重視する首相の軸足が成長に移っているように見え、過去との違いが分かりづらくなっていると考えるのは私だけでしょうか。
 また憲法改正についても、改正に前向きな日本維新の会や国民民主党が議席を伸ばしたことを踏まえ、改憲論議を加速させるとし、自民党は緊急時に政府の権限を強化する「緊急事態条項の創設」を優先的に目指す、さらに「敵基地攻撃能力の保有」についても強調しています。
 なんとなく「きな臭くなってきている」と感じるのは私だけでしょうか。
18歳以下の子どもへの10万円給付も含め、今年はどういう年になるのでしょう。
私たちは、日本の将来を見据えてどういう年にしていくべきなのか考え行動していく必要があると思います。
 みなさまのご健勝と事業のご繁栄を祈念いたしまして、新年のご挨拶といたします。
 本年もよろしくお願いいたします。
(代表社員税理士 益子良一)

2021年暑中お見舞い
2021/08/02
暑中お見舞い申し上げます。
 
新型コロナウィルス感染症の拡大により、6月20日まで首都圏をはじめとした一部地域に緊急事態宣言が発令(沖縄県はさらに延長されています)され、神奈川県には「まん延防止等重点措置」が発令されました。
その結果、飲食店でのアルコ−ル類の提供は禁止され、飲食店は休業また廃業せざるを得ない状況に追い込まれています。
緊急事態宣言等の発令は国内の経済活動を大きく制約し、内閣府が6月8日に発表した2021年1月から3月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動の影響を除いた実質GDP(季節調整値)で2020年10月から12月期より1.0%減っていて、このペ−スが一年間続くと年率換算は3.9%減となります。
2020年度は新型コロナウィルス感染症の影響を一年を通して受けた年にあたり、実質GDPは前年度比4.6%減と、下落幅は戦後最悪の落ち込みとなっています。
とくに消費税率が2019年10月1日から10%に引き上げられた影響で、2019年度から2年連続のマイナス成長で、リ−マン・ショック以来11年ぶりとなります。
厚生労働省が行った調査でも、新型コロナウィルス感染症拡大により、失業や収入減少となった「働き手世代」の生活保護申請や受給が増えています。
2020年度一年間の生活保護申請件数が速報値で、22万8081件と前年比で2.3%(5039件)増加しています。
ところで、2019年10月1日から消費税増税とともに2023年10月1日からはインボイス制度も導入される予定です。
インボイス制度が導入されますと、売上が1000万円以下で消費税免税事業者である事業者も課税事業者になることを強いられことにもなりかねません。それとともに適格請求書等の発行や保存等の事務負担も増加します。
そのインボイス制度の「適格請求書発行事業者」になるための登録申請書の受付が10月1日から始まりますので、事業者は究極の選択を検討する必要があります。
さらに一定の所得(単身世帯で年収200万円以上、夫婦世帯で320万円以上)がある75歳以上の医療費の窓口負担を1割から2割に引き上げる法律が成立しています。
窓口負担が増えれば収入が低い人を中心に「受診抑制」が起き、病気の早期発見が難しくなる可能性があります。
新型コロナウィルス感染症拡大の中でのオリンピック開催について、朝日新聞2021年5月26日付け社説では「夏の東京五輪、中止の決断を首相に求める」とし、政府の新型コロナウィルス感染症対策分科会の尾身茂会長は衆議院厚生労働委員会で専門家の立場から「今の状況で(五輪を)やるのは普通はない」と述べるなど世論の大多数は中止を求めています。
政府は国民の命と健康を最優先に考えなければならないのに、オリンピック開催を強行しようとしており、「ひろば」が発行される時期はその最中になります。
オリンピックを目指して頑張ってきたアスリートの人たちの気持ちはわかりますが、命と健康を天秤にかけたとき、やはり国民の命と健康を優先した判断をすべきでしょう。
事業経営でも言えることですが、仮にオリンピックを強行して何も起きなかったとしても、大きなリスク抱えた状態で突き進むというのは、無謀としか言いようがありません。
今年の夏は、オリンピック問題を通して日本の将来について考えてみる必要があると考えます。
それと同時に、今のような変革期に当たる時代は、「おかしいことはおかしい」と声を上げることが求められている時代とも言えましょう。
みなさまの事業の発展とご健勝を祈念いたしまして、暑中のごあいさつといたします。     
(代表社員税理士 益子良一)

2021年新年の挨拶
2021/06/04
新年のご挨拶
あけましておめでとうございます。
昨年は3月頃から新型コロナウイルス感染症が拡大し、4月には緊急事態宣言が発令されるなど、今までにない大変な年でした。
今年の冬も第三波が到来し、私たちは熱やせきがでますと、新型コロナウイルスかインフルエンザか、あるいは風邪かどうかで戦々恐々としています。
ところで昨年9月に菅政権が発足しました。菅政権は「自助、共助、公助」を前面に押し出していますが、この考え方の根底には新自由主義の発想があるといえましょう。
新自由主義とは、市場原理主義を徹底し、本来は市場化すべきでない医療や社会保障分野など公共部門の規制をなくして民間企業の参入を認めるなど市場競争を持ち込む政策で、自己責任の政治・経済・財政運営で感染症や災害に極めて脆弱な社会となり格差が広がる社会になります。
現在新型コロナウイルス感染症により経済は最悪の状況になっていて、各種補助金や助成金が支給されています。
しかし新自由主義的発想によれば、新型コロナウイルス感染症の拡大とはいえ、それに対応できないような脆弱な企業に補助金や助成金などは出さないで、市場から退場させるべき、極論すればそのような中小零細企業は切り捨てるべきだという考えです。
すでに財務省は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で業績が悪化した中小企業に対する持続化給付金や家賃支援給付金などの支援策について、申請期限を迎える1月15日で終了させようとしています。
中小企業にとって、2019年10月の消費税率引き上げに加え新型コロナウイルス感染症の影響が、経営悪化のダブルパンチになっているのが実情で、新型コロナウイルス感染症の収束が長引くと、廃業の危機となる中小企業は31万社を超えるという民間調査会社の予測もでています。
日本の社会を支えているのは中小企業だということを忘れてはなりません。
私たちの命と暮らしを守るためには、新自由主義ではなく「公助」としての医療や社会保障を守り発展させる施策が必要です。
話は変わりますが、菅政権になってすぐに日本学術会議が推薦した会員候補6人の任命拒否問題が起こりました。
日本学術会議は、学問の自由の核心である専門分野の自律性を守る防波堤です。
私は大学で租税法を教えていたこともあり、学問の自由について関心を持っています。
学問の自由の背景にあるのは、古い話ですが1933年に京都帝国大学法学部の滝川(たきかわ)幸(ゆき)辰(とき)教授の書いた「刑法読本」の刑法学説が問題視されて文部省から休職処分を受け、これに抗議して法学部の教授陣も辞職して滝川教授ら約20名が大学を去った「滝川事件」が起こりました。また1935年には元東京帝大教授の美濃部達吉貴族院議員の著作が発禁処分になり、美濃部議員も公職から追放された「天皇機関説事件」など言論を弾圧する事件があり、そのような事件の後に、日本は戦争への道を突き進み、人々の自由さえ失われていったという苦い歴史があります。
法の趣旨を曲げた恣意的な人事介入で、学術会議の独立性や中立性を脅かすことは許されるものではありません。
新型コロナウイルス感染症がどの時点で収束に向かうのか分かりませんが、今年は衆議院総選挙がある年です。
今年はどういう年になるのか、またどういう年にしていくのか、私たちは日本の将来を見据えて判断し行動していく必要があります。
 みなさまのご健勝と事業のご繁栄を祈念いたしまして、新年のご挨拶といたします。
 本年もよろしくお願いいたします。
(代表社員税理士 益子良一)

2020年暑中お見舞い
2021/06/04
暑中お見舞い申し上げます。
 
3月頃から新型コロナウイルス感染症が拡大し4月には緊急事態宣言が発令されました。
新型コロナウイルス感染症の拡大で世界経済は1920年から30年代にかけて起きた大恐慌以来の最悪の経済危機に直面しています。
日本も経済産業省が5月29日に発表した4月の鉱工業生産指数の速報値は前月比9.1%低い87.1と3か月連続の下落となっていて、2013年以降で最低の水準となっています。また総務省の労働力調査によりますと、4月の完全失業者数は178万人と、前月から6万人増加し、さらに休業者数は348万人増の597万人となっていて、とくに正規雇用者の休業者は193万人と昨年12月の感染拡大前と比べて2.7倍なのに対し、非正規雇用者は300万人と4.3倍になっています。
企業活動の停滞や雇用情勢の悪化は、消費に影響し、経済産業省が発表した商業動態統計では、4月の小売業販売額が前年同月比13.7%減の10兆9290億円と,1980年1月以降2番目に大きい落ち込みとなっています。
日本が直面している消費不況の要因として、新型コロナウイルス感染症の拡大だけでなく、昨年10月からの消費税率引き上げも大きく影響しています。
2019年の成長率はIMF(国際通貨基金)の見通しで推計2.9%とリ−マンショックよりも悪い状況が世界的に起きていて、政府が作成する景気動向指数に基づく基調判断は「悪化」でした。
「景気が悪い時に消費税を引き上げてはならない」という鉄則を無視して増税に踏み切った結果、とてつもない消費減が起こりました。また中小企業の多くは、消費税の増税分を売値に転嫁できていません。
今後の日本経済がどうなっていくのか不透明な状態にあります。
自民党の若手議員らによる議員連盟「日本の未来を考える勉強会」は、3月11日に30兆円の補正予算を編成するとともに、消費税率を実質0%にして経済を立て直すべき、すなわち「消費税は当分の間軽減税率を0%とし、全品目軽減税率を適用すること」という提言を、経済再生担当大臣に提出しています。
すでにドイツでは、新型コロナウィルス感染拡大で低迷した景気を刺激するために7月1日から日本の消費税に相当する付加価値税を半年間税率の引き下げを行っています。
日本の場合も、コロナ関連よる経営破綻が増加しつつある中、消費税税率を0パ−セントにするぐらいでないとインパクトがありませんし、経済を立て直す効果はないかもしれません。
ところで補正予算で成立した新型コロナウィルス感染で打撃を受けた中小企業は最大200万円、自営業者最大100万円の給付を受けられる持続化給付金を巡って不透明な動きがあります。
経済産業省(中小企業庁)は、その手続き業務を電通やパソナなどが関与して設立した民間一般社団法人に769億円で委託し、この団体は業務の大部分を電通に749億円で再委託し、電通はさらに再々委託しています。
その社団法人は実績がないと言われていますが、中抜きされた差額20億円はなにに使われるのでしょう。
国民の災難を食い物にするといっても過言ではありません。
改めて日本の将来について考えてみる必要があるといえましょう。
 最後にご報告となりますが、私は今年(2020年)春の叙勲で、税理士功労として「旭日小綬章」を受章しました。
世の中、自分の予想しないようなことが起きるということを実感しています。
しかしこのような大変な時期に受章したのも何かの縁だと思います。
みなさまの事業の発展とご健勝を祈念いたしまして、暑中のごあいさつといたします。     
(代表社員税理士 益子良一)

新年のご挨拶
2019/06/18
あけましておめでとうございます。
 本年10月1日から消費税率が10%に引き上げられ、「飲食料品」や「新聞」について軽減税率8%が導入されます。
軽減税率8%、10%より低いことは確かですが、現在も消費税率8%ですので本当に低所得者層の負担緩和になるのでしょうか。
軽減税率の導入により、例えばイ−トインコ−ナ−が設置されたコンビニなど飲食設備を持つ店舗の事業者は、軽減税率の線引きを巡って売上げを分ける手間が出てきます。
また仕入れ税額控除する事業者は、税率10%と8%を振り分ける手間など事務負担が増大すると言えます。
事業者にとっては、軽減税率になると税率を区分しなければならない煩雑さや、さらに2023年10月1日からインボイス制度(適格請求書等保存方式)が導入されます。
インボイス制度になりますと、仕入税額控除するためには、「適格請求書発行事業者」から交付を受けた「適格請求書」の保存が必要となります。
適格請求書発行事業者とは、免税事業者以外の事業者で、納税地を所轄する税務署長に申請書を提出し、適格請求書を交付することのできる事業者として登録を受けた事業者を言います。
納付する消費税額は、課税売上げに係る消費税額から課税仕入に係る消費税額を差し引いて算出しますが、免税事業者である仕入れ先からの仕入れは、消費税額を差し引くことができません。
当然のことながら、仕入税額控除することができない免税事業者は取引先から排除されることになるでしょう。
それを回避するためには、課税売上げが1000万円以下の免税事業者でも、課税事業者にならざるを得ない状況に追い込まれることになります。
財務省は軽減税率導入で減る税収の穴埋めとして、売上高1千万円以下で免税とされている事業者が、自ら課税事業者に移ることによる税の増収を見込んでいます。
 まさに中小零細事業者にとっては、課税事業者になって消費税を納めるか廃業するか迫られる局面も出てくることが予想されます。
とくに消費税は、職業や年齢に関係なくほとんどの商品やサ−ビスにかかりますので、消費税率が10%に引き上げられることにより、所得の少ない人ほど重い税負担となる逆進性は増大し、格差社会がますます進むことになると言えます。
ところで、内閣府が昨年11月に発表した国内総生産(GDP)速報値によりますと、物価変動の影響を除いた実質GDPは、4月から6月期に比べて0.3%減で、この成長ペ−スが1年間続くと仮定した年率換算は1.2%の減、マイナス成長は1月から3月期以来、2四半期ぶりになると言われています。
日本経済に大きな影響を与える米中貿易摩擦も長期化しそうですし、また日米物品貿易協定(TAG)交渉でも、日本に厳しい要求が突きつけられる可能性があります。
そのような状況の中で消費税率が8%から10%に引き上げられますと、日本経済に与える影響は計り知れません。
 消費税増税による消費落ち込み対策として、現金を使わないカ−ド決済などキャッシュレス決済で買い物をした人へのポイント還元策などが取りざたされています。
 しかしカ−ドを持たない子どもや高齢者などは、ポイント還元の恩恵はありません。
 やはり消費税率は8%に据え置き、またインボイス制度の導入を中止させることが求められる年と言えます。
今年一年どのように過ごしていくか、日本の現状をしっかり見据える必要があります。
 みなさまのご健勝と事業のご繁栄を祈念いたしまして、新年のご挨拶といたします。
 本年もよろしくお願いいたします。
(代表社員税理士 益子良一)


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